外国人投資家にとってカンボジアの不動産市場は規制や不透明な部分が多いため、リスク回避のために投資を躊躇してしまうケースも少なくありません。
しかし、カンボジアの不動産市場について理解を深め、現地について精通しているパートナーとしっかり準備をすれば、割安な価格で高利回りを狙える物件に投資できる可能性があります。
今回の記事では、カンボジアの不動産市場にかけられた外国人に対する規制と、投資を行う際の注意点について詳しく解説します。本記事でカンボジアの不動産ルールについて学びを深め、利益を出すための投資プランを考える際の参考としてぜひお役立てください。
カンボジアの不動産市場について
カンボジアは、近年発展を遂げている国の一つです。特に2011年から2019年にかけては縫製品の輸出拡大や海外からの投資により、毎年平均約7%という高いGDP成長率を維持してきました。2020年はコロナ禍の影響で「-3.6%」のマイナス成長に陥ったものの、その後は徐々に回復し、2024年時点でGDP成長率は6%まで戻ってきています。
またカンボジアの不動産価格は東南アジアの国と比較して割安なケースが多いため、物件を安く買って高利回りで運用しやすい環境となっています。
たとえば、首都プノンペンの高級住宅街「BKK1」に建設されたコンドミニアムでも、1,000万円台で購入できる物件が少なくありません。
なかには銀行ローンで購入できる物件もあるため、キャッシュフローを確保しながら新規物件を取得し、高利回りで運用していくことが実現できる可能性があるのです。
加えて、カンボジアの法定通貨はリエルですが、現地の人々の多くは米ドルを利用しています。不動産取引も例外ではなく、家賃の受け取りは米ドルで行われるのが一般的です。
昨今の円安傾向を顧みれば、米ドルで不動産収入を得られるのは、資産の実質的な目減りを防ぐのにとても効果的。
為替変動から収益を守るリスクヘッジ効果を発揮するのと同時に、外貨資産を得ることで分散投資も実現できてしまうのです。
カンボジアの不動産にかけられている規制
上記で説明した通り、現在のカンボジアは今後市場が拡大していくであろうと予測できる局面です。
しかし一方で、カンボジア独自の規制やルールが存在し、特に外国人による不動産取得に国が一定の規制を設けていることから、簡単には投資できないのが悩みのタネとなります。
そこで下記からは、カンボジアの不動産にかけられた主な規制の内容を解説します。規制の内容を正しく理解し、カンボジア不動産への投資を検討する際の参考にしてください。
規制-カンボジア人以外は不動産を原則所有・購入できない
大前提として、カンボジアは外国人による不動産の所有を認めていません。日本人を含む外国籍の個人や企業がカンボジアの土地や物件を購入して生活したり、投資用に貸し出したりすることは原則できないようになっています。
例外として、カンボジア国籍を持つ者、もしくは法人と共同で会社を設立すると不動産の所有権を取得できるものの、投資のためにいきなり会社を設立するのはハードルが高すぎます。カンボジアで不動産投資を行うには、外国人にかけられた規制を前提に投資戦略を考えることが重要なのです。
所有権-集合住宅などは2階以上からの購入が可能
先に述べた通り、カンボジアでは外国人の不動産取得に規制がかけられています。しかし、2010年の法改正により、集合住宅については一定の条件を満たしていれば外国人による不動産の所有が認められるようになりました。
具体的には、アパートやコンドミニアムなどの集合住宅において、2階以上の部分であれば外国人でも購入・所有が可能となったのです。1階部分や地下部分は今もなおカンボジア人のみの所有に限定されていますが、2階より上の階層は居住用・投資用を問わず外国人が取得できるため、投資する場合はこちらの選択肢を取ることになります。
所有権-購入可能なのは建物全体の70%まで
上述した通り、法改正によって集合住宅の2階以上なら外国人・外国企業でも所有が可能です。しかし、外国人・外国企業は一つの建物につき、「床面積70%までしか所有できない」という規制も存在します。
建物の床面積のうち30%はカンボジア人が所有する必要があるため、仮に他の外国人が40%を所有していた場合、投資できるのは残りの30%となってしまうのです。カンボジアの不動産市場は今後見込める成長も相まって魅力的に映りますが、設けられた規制によってプラン通りに投資を進めるのはなかなか難しいと言えます。
カンボジアの不動産に投資する際の注意点
外国人にとって規制の多いカンボジアの不動産市場。投資する際には、さまざまな点に注意しないとトラブルに巻き込まれる危険性も高くなります。
特にカンボジアは不動産関連の法整備がまだまだ完了していないこともあり、各プロセスを丁寧に進めていかないと後悔する結果となりかねません。
ここではカンボジアの不動産に投資したい方に向けて、必ず守ってほしい注意点を解説していきます。
取引先が所有権を証明する権利証を持っているか確認する
カンボジアで不動産取引を行う際は、現地の業者が物件の所有権を証明する「権利証」を持っているか確認しましょう。
この権利証は「ハードタイトル」と「ソフトタイトル」の2つに大きく分けられ、どちらを持っているかによって物件の投資リスクが大きく変動します。
「ハードタイトル」の権利証は、物件がカンボジアの「国土管理都市計画建設省」の登記所に正式に登記されていることを示す書面です。
一方、「ソフトタイトル」の権利証は主に地方自治体のリーダーが発行しており、不動産の譲渡や売買を証明する書面を指します。
問題になりやすいのはソフトタイトルの権利証しか持っていない取引先を選んでしまった場合です。ソフトタイトルの権利証しかない物件は登記が行われていないため、投資後に所有権を主張する人が現れるなど、日本では考えられないトラブルに巻き込まれる可能性が高くなります。
そのため、カンボジアの不動産に投資する第一歩としては、ハードタイトルの権利証で権利関係をしっかり確認できる物件を見つけることが重要と言えるでしょう。
プレビルド方式物件の未完成リスクに注意する
カンボジアやフィリピンなど、東南アジア国でのコンドミニアム販売時には「プレビルド方式」と呼ばれる販売方法が頻繁に行われます。
プレビルド方式とは、竣工前に販売価格の一部を手付金として支払い、物件が完成した後に残りの額を払う方法です。物件の完成が近づけば近づくほど物件価格が上昇する仕組みとなっているため、早期に購入した人たちほど安く物件を取得できるというメリットがあります。この仕組みは、物件を安く買って少しでも高利回りでの運用を目指す投資家にとっても魅力的な販売方法と言えるでしょう。
しかし、プレビルド方式にはデメリットも存在し、たとえば悪質なディベロッパーにひっかかると手付金を支払った後に工事を放棄され、そのままお金を持ち逃げされてしまう可能性があります。また、持ち逃げではなくても、支払いをした後にディベロッパーが倒産し、物件を取得できないまま投資家が損失を被ってしまうケースも少なくありません。
プレビルド方式による損失を防ぐためにも、できるだけ豊富な実績を持ったディベロッパーを選ぶようにしましょう。
信用できる仲介業者と出会う
カンボジアでの不動産投資を成功をさせるには、信用できる仲介業者とタッグを組むことが何よりも重要です。規制の多さや言語の壁、プレビルド方式といった特殊な販売方法など、カンボジアでトラブルなく投資を進めるには綿密なコミュニケーションが欠かせません。
不動産情報も含め、現地に精通したパートナーを選ぶと、カンボジアの不動産市場という成長が見込める環境へ先行投資しやすくなり、利益も狙いやすくなります。「Hello!CAMBODIA」では、コラム記事によるカンボジアの不動産市場に関する情報発信や、公式LINEによるご相談も承っております。資料請求なども無料で承っておりますので、ご興味のある方はぜひご連絡ください。
気候に考慮して物件選びを行う
カンボジアの不動産物件を選ぶ時は物件が建つ地域の気候や環境にも目を向け、入居者が快適に生活し続けられるかという視点を持つことも重要です。
特に西向きの物件は直射日光に長時間さらされやすく、真夏などは室内に熱がこもりやすくなります。入居者の生活の質を大きく下げるような物件は満足度の低下による退去や、そもそも入居が決まらないことで、空室リスクを高める危険性があるでしょう。
入居者が見つからなければ低い家賃で貸し出す事態となり、当初のプランより低い利回りでしか運用できないことで利益が発生しないことにもなりかねません。
安定した投資利益を出すためには海外でもその風土に合った物件選びを行い、住民のニーズに合った環境を提供することを最優先しましょう。
カンボジアの不動産の規制を理解して準備を進めよう
カンボジアの不動産には外国人向けの規制が設けられており、投資するにあたって非常に大きな障壁になることは間違いありません。
しかし、法改正によって集合住宅の一部は所有・管理できるようになったことで、投資の幅は広がりました。カンボジアはGDP成長率や、国民の平均年齢の若さから、今後の成長が見込まれる国の一つです。
国が成長すればもちろん不動産価値も高くなりやすいため、将来的にはより大きな利益を出すことも不可能ではないでしょう。
そのためにも、まずは現地情報をしっかり入手できるパートナーと手を組み、数多くの規制のなかでトラブルなく投資できるプランを考えていくことから始めると良いでしょう。