インドネシアは、ASEAN(東南アジア諸国連合)の本部があり、東南アジア諸国から唯一G20へ参加している大国です。人口が非常に多く経済的にも成長し続けているため、不動産投資においても高い期待が寄せられている国となります。
当記事では、インドネシアという国の基本的情報から、現地の不動産事情、不動産投資を行うメリット・デメリット、おすすめのエリアについて解説していきます。インドネシアでの海外不動産投資に興味を持っている方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
インドネシアの基本情報
インドネシアでの不動産投資を行うのであれば、まずはどのような国であるのかを知っておく必要があります。ここでは、インドネシアの地理的特徴、人口・人種・文化、産業・経済といった基本情報を解説します。
地域的特徴
インドネシアは、東南アジアの南部に位置する、大小17.000以上の島から構成される共和制国家です。国土面積は約192万㎢と非常に広く、その面積は日本の約5倍に該当します。
国土は東西に5,110imと非常に長く、豊富な農水産資源と天然資源に恵まれています。
赤道直下の熱帯地域に位置する高温多湿の亜熱帯性気候であるため、年間を通して27~28度と気温が高い常夏の国であることが特徴です。季節は5~10月の乾季と11~4月の雨季に分かれており、乾季は湿度が低く過ごしやすく、雨季は湿度が高くほぼ毎日のようにスコールが降ります。
人口・人種・文化
インドネシアの人口は2億7000万人と世界第4位・東南アジア最大の人口規模を誇る国です。ジャワ人、スンダ人、マドゥーラ人等マレー系、パプア人等メラネシア系、中華系、アラブ系、インド系など、約300の民族から構成される多民族国家でもあります。
平均年齢が29歳と非常に若いため生産年齢の人口比率が高く、生産年齢の人口比率が上昇する人口ボーナス期が長期間継続すると言われています。公用語はインドネシア語が用いられており、宗教はイスラム教が86.69%を占める世界有数のムスリム国家です。
インドネシアは多民族国家でありながら、言語・文化・宗教等の多様性が統一されているのが大きな特徴となります。
産業・経済
インドネシアは、
・労働人口の多さ
・天然資源の豊富さ
・農水産資源の豊富さ
・国内需要拡大
・海外からの投資
により大きく発展してきた国です。日経大企業を含む海外企業が数多く進出しており、新興国のなかでも安定した経済成長率を誇る新興経済大国となります。主要産業は鉱業・農業ですが、近年では第3次産業の情報通信業や金融業が大きく成長しており、第2次産業の食品・飲料・建設業の需要も大きく高まってきています。
2023年の名目GDPは1兆3,711億7,100万米ドルで、実質GDPは1兆1,222億8,500万米ドルです。一人あたりの名目GDPは7,528万7,927ルピア、実質GDPは4,432万9,369ルピアです。
GDPは右肩上がりに推移してきており、今後も順調に上がっていくことが予想されています。
一説では、インドネシアが順調に成長していけば、日本やドイツ等の現在の経済大国の規模を上回る可能性があるとも言われています。
インドネシアの不動産事情
インドネシアで不動産投資を行うのであれば、現地の不動産事情を把握しておくことが重要です。ここでは、インドネシアの不動産市場の現状と今後の見通しについて解説します。
不動産市場の現状
インドネシアの不動産市場は、人口の増加や中流階級の拡大に伴い住宅市場が大きく成長を見せています。主要都市においては商業用不動産市場も成長しており、観光地における不動産需要も拡大傾向です。
法整備や制度は先進国と比べると未成熟であると言わざるをえませんが、オンラインでの情報収集や取引が可能となるなどデジタル技術が浸透しつつあり、不動産投資の利便性は向上しつつあります。また、政府が不動産市場を活性化するための施策を推進しており、外国人に不動産の賃貸借契約を許可する法律が制定されるなど、外国人投資家がしやすい状況も整ってきている状況です。
インドネシアの不動産市場は、他国と同じく全面的にコロナ禍の打撃を受けましたが、現在では回復傾向にあり、再び市場は活性化の方向へ向かいつつあります。
不動産市場の今後の見通し
インドネシアは今後も人口の増加が予想されており、平均年齢が若く人口ピラミッドがきれいな形であるため、長期的な人口ボーナスが期待できる国です。経済的にも成長を続けており、現地の中流階級・外国人駐在員・観光客数も増加し続けています。
このような状況から、住宅・商業用不動産に対する高い需要が長期的に継続することが期待できます。また、デジタル化による取引の利便性の向上・外国人投資家の誘致・規制緩和・市場の透明性の高まりなど、外国人投資家が不動産投資を行う投資環境も整いつつあります。
今後社会情勢・経済情勢が安定していれば、今後の市場の見通しは明るいと言えるでしょう。
インドネシアで不動産投資を行うメリット
インドネシアは、外国人投資家が不動産投資を行うにあたって数多くのメリットが存在します。主なメリットについて下記に解説していますので、参考にして下さい。
高い需要が見込める
インドネシアは、人口が年々増加しており人口密度も高いため、不動産に対する需要が高い国です。人口ピラミッドの形状も良く、経済成長に伴い中流階級が増加しているため、長期的な人口ボーナスが見込めます。海外企業も多数進出しているため、外国人駐在員を対象とした物件の需要も高まっています。
現地住民・外国人駐在員両方を対象とした不動産投資を行える環境が整っており、その不動産需要の高さから、インカムゲインによる収益だけでなく、物件の値上がりを見込んだキャピタルゲインを積極的に狙っていくことが可能です。
長期的に高い不動産需要が期待できることは、海外不動産投資を行う投資家にとっては非常に大きなメリットとなります。
高い利回りが見込める
インドネシアの不動産は利回りが高い傾向にあることもメリットです。ジャカルタのアパートメントの想定利回りは平均5~10%となっており、ジャカルタ郊外や他の都市では利回り10%以上の物件が見つかる可能性もあります。日本においては東京都心部の利回りが平均3%程度と言われているため、インドネシアの利回りがいかに高いかが実感できるでしょう。
このような状況から、高い利回りが見込める物件を確保してインカムゲインによる不動産収益を積極的に狙っていくことが可能です。利回りの高い物件が豊富にあることは、インカムゲイン主体の不動産投資を行う投資家にとっては理想的な環境と言えます。
投資対象が豊富
インドネシアは、高層マンション・ホテル・商業施設などさまざまな物件へ投資する事が可能であり、投資対象が豊富にある国です。商業都市・工業都市といった経済的に活発なエリアはもちろん、バリ島に代表されるようなリゾート地への投資も可能であることが大きな特徴です。
既存の物件だけでなく、新規物件の開発と供給も拡大傾向にあるため、不動産市場は今後もますます成長していくことが予想されます。物件の種類と数が多く、目当ての物件を見つけやすい好環境にあることは、海外不動産投資に取り組もうと考えている方にとっては非常に大きなメリットと言えるでしょう。
外国人投資家が参入しやすい
インドネシアは外国人に対する不動産投資の規制が多い国です。しかし、現在では政府が外国人投資家を歓迎する政策をとっており、新政権発足以降の改訂により不動産に関する規制が緩和されるなど、外国人投資家が参入しやすい環境が整いつつあります。例えば、土地の「使用権」の年数が25年から80年に伸長されるなどの規制緩和が挙げられます。
依然としてインドネシアは外国人の不動産投資には多くの制限が残っていますが、今後も規制緩和が進められる可能性もあるため、外国人投資家の参入障壁は下がっていくことが期待できます。
インドネシアで不動産投資を行うデメリット
インドネシアでの不動産投資にはデメリット面も存在するため、リスクを見積もるためにも事前に把握しておくことが重要です。下記に解説していますので、参考にして下さい。
法律・制度の整備が不十分
新興国にありがちなことですが、インドネシアは不動産に関する法律や制度が十分に整備されておらず、不明瞭な部分が多いことがデメリットです。実際に、海外在住の外国人は土地・建物の所有権を持てず資産性が薄まるといった問題や、契約の不備・不履行が生じても裁判が遅延するなど、さまざま事例が発生しています。
また、インドネシアでは汚職や不正行為も根強く残っており、現地事情に明るくない外国人を狙った悪徳業者や詐欺業者も存在するため注意が必要です。
このように、インドネシアは外国人投資家にとって不安要素が多い国であるため、不動産投資を行うのであれば、現地事情に明るい信頼できる専門家やアドバイザーを頼ることが重要となります。
自然災害のリスクが高い
インドネシアは、地震・火山噴火・洪水などの自然災害が多い国です。過去には大規模な自然災害により、交通インフラが麻痺したり、水道・電気等の生活インフラが停止したケースもあります。
不動産投資においては、物件がダメージを受けて多額の修繕費用がかかったり、入居者の立ち退きや入居率低下による空室が発生したりするリスクがあるため注意が必要です。
インドネシアの不動産市場は魅力的ですが、常に自然災害に対するリスクに晒されているため、リスクマネジメントは必須です。万が一の際に迅速な対応を行い、被害を最小限に抑えられるように備えておく必要があります。
為替リスクがある
インドネシアへの不動産投資は、現地の通貨を使用しなければならないため、他国への海外不動産投資と同様に為替リスクがあります。同国の通貨である「ルピア」は、一般的に弱い通貨であると言われており、かつて通貨危機を経験したこともあるため注意が必要です。
現在では「ルピア/円」の間では極端な為替変動は確認されていませんが、「ルピア/ドル」ではルピア安が継続している状況です。ルピアが安いということは、インドネシアでの不動産投資で収益が発生しても、為替負けして利益が得られないリスクがあるということです。
今後円高によりルピアの価値が下がる可能性も否定できないため、投資を行うのであれば常に為替相場の変動に目を配り、リスクに備えておくことが重要となります。
インドネシアの不動産投資でおすすめのエリア
ここでは、インドネシアの不動産投資におすすめのエリアについて紹介しています。エリアごとに特性が異なるため、同国での投資に興味がある方はぜひ参考にして下さい。
ジャカルタ
ジャカルタは、ジャワ島北西部の海岸に位置するインドネシアの首都であり、最も人口が多く経済的にも発展している大都市です。インドネシアの経済の中心地であり、ショッピングモール・高層ビル・高級住宅などが多数立ち並び、海外企業も多数進出しています。ジャカルタ市内のオフィスエリア・ビジネスセンターエリア・周辺エリアは特に需要が高くなっており、不動産価格・賃料ともに毎年右肩上がりで上昇しています。
ジャカルタは不動産投資家にとって非常に魅力的な環境であり、インドネシアでの不動産投資では最もおすすめのエリアです。ただし、交通渋滞や自然災害等の問題を抱えている点には注意が必要となります。
バリ島
バリ島は、美しいビーチ・珊瑚礁・森林など豊かな自然に恵まれた世界的に有名な観光地です。寺院・遺跡など見ごたえのある建造物も数多くあります。南部にはリゾートタウンが栄えており、世界中から多くの観光客が訪れています。
非常に観光需要が高いため、高級ヴィラやコンドミニアムへの不動産投資が盛んに行われており、安定的に高い需要が見込めるおすすめのエリアとなります。
ただし、インドネシアの他のエリアと同様に自然災害のリスクが高い点には注意が必要です。
スラバヤ
ジャワ島の東部に位置する、インドネシアで第2位の人口を誇る大都市です。経済規模が大きく、首都ジャカルタよりも人件費が安いため、海外から多くの企業が進出しています。もちろん現地企業も多数存在しています。
スラバヤ近郊では大規模な工業団地の開発が次々に行われており、住宅需要も非常に高いのが特徴です。インフラはやや脆弱な側面がありますが、今後も成長・発展が見込まれる都市であるため、不動産投資家にとって非常に有望なエリアとなっています。
バンドン
ジャワ島西部に位置する、インドネシア西ジャワ州の州都となる大都市です。オランダ植民地時代から残る美しいヨーロッパ様式の建物が立ち並び、「ジャワのパリ」とも呼ばれて観光地として賑わっています。
元来は繊維で栄えた街であるためアパレルショップが多く、さまざまなブランドのアイテムを販売するファクトリーアウトレットが立ち並んでいることでも有名です。また、大学が多く存在している学園都市でもあります。
工業団地・学生向け住宅の需要が高く、商業施設への投資も期待できるため、不動産投資家にとってはホットなエリアです。
メダン
メダンは、スマトラ島の北東部に位置するスマトラ島最大の商業都市です。北スマトラ島の州都かつデリ・セルダン県の県庁所在地でもあり、インドネシアで5番目に人口の多い主要都市となります。
現在ではスマトラ島最大の交易中心地として栄えており、海外企業も多数進出しています。エリアで働く労働者のための工業団地もあり、住宅に対する需要も高い傾向にあるため、不動産投資家にとって魅力的なエリアとなっています。
市場動向や現地事情を把握してチャンスを掴もう!
インドネシアは、人口が非常に多く経済的にも発展を続けており、不動産に対する需要も非常に高い国です。利回りも高く、インカムゲインとキャピタルゲインの両方が狙えるなど、不動産投資家にとっては理想的とも言える環境が整っています。
不動産関係の法律や制度が未整備であり、自然災害も多いといったリスクもありますが、市場動向や現地事情を把握して参入すれば、リスクを避けつつチャンスを掴める可能性は大いにあるといえるでしょう。
インドネシアの不動産投資に興味のある方は、ぜひ当記事を参考にして参入の足がかりを掴んでみて下さい。