マレーシア移住のリアルとは?ビザ情報、具体的な初期費用や生活費も算出
- マレーシアとは?移住前に知っておきたい基本情報
- マレーシア移住のメリット
- インフラや医療の水準が高く生活基盤が整っている
- 教育の選択肢が多く家族での移住にも向いている
- 多民族国家で英語が通じ外国人でも馴染みやすい
- マレーシア移住のデメリット
- イスラム教をはじめ宗教や文化の違いに慣れる必要がある
- 気候や交通など日本とは生活環境が異なる
- 長期滞在ビザの必要資金が多く条件も変わりやすい
- マレーシア移住にかかる費用はいくら?初期費用と生活費の目安
- マレーシア移住の流れ
- マレーシア移住の条件は?主なビザの種類と取得要件
- マレーシア移住におすすめのエリア
- クアラルンプール
- ペナン
- ジョホールバル
- 目的に合うビザと費用を見極めて、マレーシア移住を計画しよう
マレーシアは日本人に人気の移住先です。
ロングステイ財団の調査では日本人が長期滞在したい国として2006年から15年連続で1位に選ばれています。また定年後のロングステイから子連れの教育移住まで、移住の形もさまざまです。
一方でマレーシア移住には日本とは異なる宗教や文化、長期滞在ビザの厳しい条件といった壁もあります。現地の事情を知らないまま移住すると、生活に馴染めなかったり資金が足りなくなったりして後悔しかねません。
本記事ではマレーシア移住のメリット・デメリットを紹介します。合わせて生活費の目安や移住の流れ、主なビザの条件、おすすめのエリアも解説します。
事前に知っておけば移住後の後悔や失敗を減らすことができるので、計画を立てる際にぜひ参考にしてください。
※なお本記事の円換算は1リンギット=約40円、1米ドル=約150円で計算しています
マレーシアとは?移住前に知っておきたい基本情報

マレーシアは東南アジアのマレー半島南部とボルネオ島北部からなる国です。国土面積は日本の0.87倍で、人口は約3,400万人です。首都クアラルンプールには約207万人が暮らしています。
| 項目 | 内容 |
| 面積 | 33万855平方キロメートル(日本の0.87倍) |
| 人口 | 3,423万人(2025年) |
| 首都 | クアラルンプール(人口207万人) |
| 言語 | マレー語、英語、中国語、タミル語 |
| 宗教 | イスラム教63.5%、仏教18.7%、キリスト教9.1%、ヒンドゥー教6.1% |
| 政体 | 立憲君主制 |
| 通貨 | リンギット |
| 一人当たりGDP | 1万3,949米ドル(2025年) |
| 実質GDP成長率 | 5.2%(2025年) |
| 在留邦人数 | 1万9,690人(2025年10月1日現在) |
マレーシアで暮らす日本人は1万9,690人で、東南アジアではタイ、シンガポールに次いで3番目に多い国です。
外務省によれば首都クアラルンプールだけでも9,269人が暮らしていると報告されており、日本人学校や日本人会もあります。
国民の70.5%はマレー系と先住民族からなるブミプトラと呼ばれる人々です。次いで中華系が22.2%、インド系が6.5%を占めています。
イスラム教を国教としながら、仏教やキリスト教、ヒンドゥー教の信仰も認められている多民族・多宗教の国です。
経済は安定して成長を続けており、2025年の実質GDP成長率は5.2%でした。一方で消費者物価の上昇率は1.4%にとどまり、物価は落ち着いています。
気候は年間を通じて高温多湿の熱帯雨林気候に属し、日本のような四季はありません。一年中夏服で過ごせるため、衣替えの手間がない点が魅力の一つです。
マレーシア移住のメリット

マレーシアへの移住には生活の土台が整った国ならではのメリットがあります。
代表的なメリットは次の3つです。
- インフラや医療の水準が高く生活基盤が整っている
- 教育の選択肢が多く家族での移住にも向いている
- 多民族国家で英語が通じ外国人でも馴染みやすい
一つひとつ詳しくご紹介します。
インフラや医療の水準が高く生活基盤が整っている
マレーシアは電気や水道、交通といった生活インフラが整い、日本に近い感覚で暮らせる国です。
交通・インフラの面において、クアラルンプールではLRTやMRTといった鉄道が中心部と郊外を結んでいます。配車アプリのGrabも広く普及しており、車を持たなくても移動しやすい環境です。
また医療水準も高く、外務省は大きな私立病院であれば問題なく受診できるとしています。
実際に日本語で診療できる医師が在籍する私立病院もあり、海外から治療に訪れる人も多く、2024年には160万人が医療目的で入国しているというデータもあります(※1)。
さらに国土が赤道付近にあるため熱帯低気圧が台風まで発達しにくい環境です。自然災害の約8割は洪水なので、浸水しにくい立地を選んでおくと安心です。
※1 マレーシア・ヘルスケア・トラベル・カウンシル(MHTC)「Malaysia Healthcare Travel Council Launches MYMT 2026, Malaysia’s First Medical Tourism Year」
教育の選択肢が多く家族での移住にも向いている
マレーシアは教育の選択肢が多く、子どもの教育を目的とした移住にも向いています。冒頭で紹介したロングステイ財団も、他国より安く質の良い教育を受けられる点をマレーシアの人気の理由に挙げています。
なおインターナショナルスクールは英国式や米国式、国際バカロレア(IB)とカリキュラムがさまざまです。年間の学費もRM1万5,000〜11万5,000(約60万〜460万円)と幅があり、予算に合う学校を探すことができます。
加えて子どもの通学中は親も「保護者ビザ」で一緒に暮らすことが可能です。高校を卒業した後は英国ノッティンガム大学などの分校で本校と同じ学位を取得することもできます。
多民族国家で英語が通じ外国人でも馴染みやすい
マレーシアはマレー系、中華系、インド系が暮らす多民族国家で、外国人も溶け込みやすい環境です。民族ごとに母語が異なるため、共通語として英語が広く使われています。
買い物や通院でも英語が通じるため、マレー語を話せなくても生活に困る場面は少なめです。
街にはマレー料理や中華料理、インド料理の店が並び、多民族国家ならではの食文化を毎日楽しめます。日本食レストランや日系スーパーも揃っており、日本の味が恋しくなったときも安心です。
マレーシア移住のデメリット

マレーシア移住では日本との違いに戸惑う場面も少なくありません。移住後に苦労しやすいデメリットとしては、次の3つが挙げられます。
- イスラム教をはじめ宗教や文化の違いに慣れる必要がある
- 気候や交通など日本とは生活環境が異なる
- 長期滞在ビザの必要資金が多く条件も変わりやすい
これらのポイントに注意しながら、移住計画を進めましょう。
イスラム教をはじめ宗教や文化の違いに慣れる必要がある
マレーシアはイスラム教を国教とする国で、日本にはない宗教上の習慣に慣れる必要があります。
酒類には高い税金が課され、ビールやワインは日本より割高です。豚肉もスーパーの専用売り場など、限られた場所でしか買えません。
たとえば断食月のラマダン中は、日中に飲食を控えるイスラム教徒への配慮も必要です。祝日も民族ごとに設けられており、ラマダン明けのハリラヤ・プアサや中国旧正月の前後は休業する店も増えます。
とはいえ中華系の飲食店であればお酒や豚肉料理も楽しめます。移住前に短期滞在しておき、文化の違いを肌で感じておくと安心です。
気候や交通など日本とは生活環境が異なる
マレーシアは一年中高温多湿で、気候の面でも日本とは暮らし方が変わります。
首都クアラルンプールでは雷の発生する日が年間180〜260日にのぼります。短時間に激しい雨が降るスコールも多く、外出の予定が天気に左右されがちです。
加えてインドネシアの焼畑や山火事の煙によるヘイズ(煙害)が、4〜10月にかけて悪化します。移住後は空気清浄機やマスクを用意しておきましょう。
長期滞在ビザの必要資金が多く条件も変わりやすい
長期滞在ビザの「マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)」の取得には多額の資金が必要です。
MM2Hの標準3区分(シルバー・ゴールド・プラチナ)の中ではシルバーが最も低い条件で、15万米ドル(約2,250万円)の定期預金に加えて、60万リンギット(約2,400万円)以上の住宅を購入する必要があります。住宅に関しては住み替えを除いて10年間は売却できない制約もあります。
MM2Hは条件の見直しも多く、2020年には新規申請の受付が停止しました。2021年に条件を大幅に引き上げて再開し、2024年にも区分が改められています。
長期滞在ビザ取得のための資金準備が難しい場合は、就労ビザやデジタルノマドビザで移住する方法もあります。申請前には公式サイトで最新の条件を確認するようにしましょう。
マレーシア移住にかかる費用はいくら?初期費用と生活費の目安

マレーシア移住でかかる生活費は日本よりも安くなる傾向です。
英国の人材調査会社ECAインターナショナルは、2023年に世界207都市の駐在員の生活コストを調査(※1)しました。その結果クアラルンプールは175位で、10位の東京と比較するといかに生活費を抑えられるかがわかります。
住まいにかかる初期費用は前家賃1カ月分と保証金2カ月分、光熱費のデポジット0.5〜1カ月分が目安です。たとえば家賃RM2,000(約8万円)なら、RM7,000〜8,000(約28万〜32万円)を入居時に支払います。
家具や家電付きの物件が多いので家財の購入費は節約できます。
例としてクアラルンプールへの単身移住の場合、毎月の生活費は下記が目安です。
| 項目 | 月額の目安 | 金額が変わるポイント |
| 家賃(コンドミニアム) | RM1,500〜3,000(約6万〜12万円) | 郊外か中心部か、部屋の広さ |
| 食費 | RM800〜1,500(約3万〜6万円) | ローカルの外食中心か、日本食中心か |
| 水道光熱費 | RM100〜300(約4,000〜1万2,000円) | エアコンの使用時間 |
| 通信費(スマートフォン・インターネット) | RM130〜250(約5,000〜1万円) | 光回線やスマホのプラン |
| 交通費 | RM50〜400(約2,000〜1万6,000円) | 公共交通の定期券か、Grab中心か |
| 医療保険 | RM150〜400(約6,000〜1万6,000円) | 年齢や補償内容 |
| 日用品・交際費 | RM500〜1,500(約2万〜6万円) | 外出や趣味の頻度 |
| 合計 | RM3,200〜7,400(約13万〜30万円) |
下限はローカルの食堂や公共交通を使う、節約型の暮らしを想定しています。上限は中心部に住み、日本食やGrabをよく使う場合の金額です。
現地のフードコートなら1食RM5〜20(約200〜800円)で済み、外食中心でも食費はあまりかかりません。一方で日系スーパーの食品は日本の1.2〜1.5倍ほどの価格で、日本と同じ食生活を続けると生活費は高額になります。
※1 ジェトロ「海外駐在員生活コストランキング公表、マレーシアの生活コストの低さが鮮明に」
マレーシア移住の流れ

マレーシア移住はビザの取得から現地での生活の立ち上げまで、一般的には次の流れで進めます。
各種書類を取り寄せる必要があるなど準備には時間がかかるため、半年ほど前から動き始めると安心です。
| ステップ | 内容 |
| 1. 情報収集・下見 | 短期滞在で住みたいエリアや家賃の相場を確認する |
| 2. ビザの申請 | 目的に合うビザを選び、必要書類を揃えて申請する |
| 3. 日本での手続き | 海外転出届の提出や、年金・保険・税金の手続きを行う |
| 4. 渡航・住まいの契約 | 物件を内見し、賃貸契約を結ぶ |
| 5. 在留届の提出 | 日本大使館か総領事館に在留届を出す |
| 6. 生活の立ち上げ | 銀行口座の開設や携帯電話の契約、医療保険への加入を済ませる |
海外に1年以上住む予定であれば出国前に住民票のある市区町村へ海外転出届を出します。
転出後は日本の国民健康保険から外れ、国民年金は任意加入の扱いです。
現地に着いたら日本大使館か総領事館へ在留届を提出しましょう。在留届は3カ月以上海外に滞在する日本人の義務で、災害や事件の際に安全情報を受け取れます。
マレーシア移住の条件は?主なビザの種類と取得要件

マレーシア移住の条件は選ぶビザによって大きく異なります。主な長期滞在ビザは次の3種類です。
| ビザ | 対象 | 主な条件 | 期間 |
| MM2H | 25歳以上の方 | 定期預金15万米ドル以上と、60万リンギット以上の住宅購入(シルバーの場合) | 5〜20年 |
| 雇用パス(就労ビザ) | マレーシアの企業で働く方 | 月給5,000リンギット以上(カテゴリーIIIの場合) | 最長5〜10年 |
| DE Rantau(デジタルノマドビザ) | 国外の企業や顧客から収入を得る方 | 年収2万4,000米ドル以上(IT・デジタル分野の場合) | 1年(1年延長可) |
MM2Hはリタイア後の移住や、住宅を持って長く暮らしたい方向けのビザです。区分はシルバー・ゴールド・プラチナの3つで、条件が上がるほど滞在期間も5年、15年、20年と長くなります。
なお現地企業で働くのであれば、外国人管理職・専門職向けの就労ビザである「雇用パス」を使うことができます。
ただし月給基準が2026年6月に引き上げられ、最も低いカテゴリーIIIでも月5,000リンギット(約20万円)以上が必要です。
日本の会社の仕事をリモートで続ける方やフリーランスの方は、「DE Rantau」いわゆるデジタルノマドビザを利用できます。
年収の条件はIT・デジタル分野で2万4,000米ドル(約360万円)以上です。その他の職種では6万米ドル(約900万円)以上が求められます。
マレーシア移住におすすめのエリア

最後にマレーシアでの移住先として人気の3つのエリアをご紹介しましょう。
- クアラルンプール
- ペナン
- ジョホールバル
なお選ぶエリアによって物件価格や生活費、生活する上での利便性は大きく異なるため、ご自身の移住目的に合ったエリアを選定してください。
クアラルンプール
マレーシアの首都クアラルンプールは、仕事や医療、教育の拠点です。マレーシアで暮らす日本人の約半数にあたる9,269人が住み、初めての海外移住でも生活を立ち上げやすい環境が整っています。
日本人の間では北西部のモントキアラの物件が移住先として人気です。インターナショナルスクールや日本食レストランが揃い、プールやジム付きの高級コンドミニアムが並ぶエリアだからです。
ただし市街は渋滞が多く、家賃もほかの都市より高めとなっています。
モントキアラには鉄道の駅がなく、自家用車かGrabでの移動が前提です。鉄道で通勤・通学したい場合は、LRTの駅があるバンサーやKLCC周辺も探してみましょう。
ペナン
ペナンはマレー半島北西部の島を中心とする州で、落ち着いた環境で暮らしたい方に向いています。
中心部のジョージタウンには植民地時代の建物や寺院が残り、街並みは世界文化遺産に登録されています。
医療機関が充実している点もペナンの特徴です。2025年には島内のアイランド病院が、政府系機関MHTCの「医療ツーリズムの旗艦病院」に選ばれました。医療とサービスの質を国から高く評価された病院を、島内で利用できるということです。
また生活費はクアラルンプールよりも安く抑えられます。日本人学校もあり子ども連れの移住にもおすすめできる環境です。リタイア後に自然に囲まれた環境でゆったり暮らしたい方にも向いています。
ジョホールバル
ジョホールバルはマレー半島の南端にある都市で、シンガポールと橋で行き来できるエリアです。毎日多くの人が国境を越えて通勤しており、シンガポールの商業施設や空港も身近な存在です。生活コストを抑えながら隣国の都市機能を使えるのが魅力です。
2025年1月にはシンガポールと共同で経済特区「JS-SEZ」を設けることで合意。製造やデジタル経済、医療など11の分野で企業の誘致が進んでおり、5年以内に2万人の雇用を生み出す目標を掲げています。
家賃もクアラルンプールの中心部より安く、同じ予算で広い部屋を借りやすい環境です。シンガポールの利便性と、ゆとりのある住まいを両立したい方に向いたエリアです。
目的に合うビザと費用を見極めて、マレーシア移住を計画しよう
マレーシアはインフラや医療、教育の水準が高く、多民族国家ならではの暮らしやすさがある国です。一方で宗教や気候の違いに加え、長期滞在ビザには多額の資金が求められます。
そのためマレーシア移住では、目的に合うビザを先に決め、必要な資金を早めに見積もっておくことが大切です。MM2Hで住宅を購入するなら、エリアの暮らしやすさと物件の購入条件を合わせて確認しましょう。
まずは短期滞在で街の雰囲気や生活費を確認し、自分に合った移住の形を描いてみてください。入念な準備を整えてからマレーシアでの新しい暮らしを始めてみましょう。