フィリピン不動産の利回りは何%?キャピタルゲインと税金も解説
フィリピン不動産投資の収益は毎月の家賃収入(インカムゲイン)と売却時の値上がり益(キャピタルゲイン)の2本柱で成り立ちます。
実際に物件を検討するときにも「利回りは何%を見込めるのか」「売却でいくら残るのか」という数字が気になることでしょう。
そこで本記事ではフィリピン不動産の平均利回りを最新の調査データで紹介します。
税金・経費を差し引いた実質利回りの考え方、キャピタルゲインの狙い方、売却時にフィリピンと日本でかかる税金まで解説しますので、ぜひ参考にしてください。
※本件の利回りや適用税金はデベロッパー及び物件価格に応じて変動する可能性があります。
フィリピン不動産の利回りは?

まずはフィリピン不動産の利回り水準を全国・マニラ首都圏の順で紹介しつつ、今後の見通しについても解説します。
※ここで扱う利回りはすべて、年間の家賃収入を物件価格で割った「表面利回り」です。物件価格や管理費、税金などの経費を差し引く前の数値である点を押さえておいてください。
フィリピン全体の平均利回りは5%台
Global Property Guideの調査(※1)によると、フィリピンの住宅の平均表面利回りは5.11%です(2026年第1四半期)。前四半期の5.23%からわずかに下がったものの、5%台を維持しています。
ただし5.11%はあくまで全国の平均値であり、都市や物件のタイプによって利回りは上下します。特に日本人投資家の購入が集中するマニラ首都圏では、全国平均を下回るデータとなっています。
※1 Global Property Guide「Gross rental yields in the Philippines: Manila and Cebu」
マニラ首都圏全体の平均利回りは4%台
フィリピンの中でもマニラ首都圏に絞ると、利回りは全国平均より低くなります。
Leechiu Property Consultantsの調査(2025年第4四半期)(※1)によると、首都圏の住宅の平均利回りはデベロッパーから直接購入する一次市場で4.1%、中古物件が中心の二次市場で4.8%でした。
二次市場の利回りが高いのは物件を安く買えるからです。新築のプレビルド物件と比較して中古物件は物件価格が安いため、家賃が同じ水準でも利回りは高くなる傾向にあります。
またマニラ首都圏の利回りが全国平均を下回るのは、物件価格の高さが理由です。
家賃は高いものの、それ以上に物件価格が高いため、家賃÷物件価格の結果である利回りは低くなりやすいのです。首都圏で高い利回りを狙うなら、物件価格が家賃相場に見合っているかを物件ごとに見極める必要があります。
※1 BusinessWorld「Metro Manila rental yields may stay flat in 2026 — analysts」
2026年の利回りは横ばいの見通し
2026年以降のフィリピン不動産投資における今後の見通しも確認しておきましょう。
Colliers Philippinesのデータによると、マニラ首都圏のコンドミニアムの利回りは2019年の4.0%から2025年第2四半期の4.2%まで、6年間ほぼ横ばいで推移しました。
利回りが大きく動かない状態は2026年も続くとみられています。
横ばいが見込まれる背景にあるのは空室の多さですが、今後空室率は下がっていく見通しです。
新規の供給が減って空室が埋まれば、新規でフィリピン不動産投資を考える方にとっては追い風となります。空室率の改善は利回りを押し上げる要因にもなるため、2027年以降は利回りの改善が期待できるでしょう
フィリピン不動産の実質利回り・表面利回り

不動産投資でよく聞く「利回り」には、表面利回りと実質利回りの2種類があります。2つの違いは税金や経費を計算に入れるかどうかです。
表面利回りは年間の家賃収入を物件価格で割った数字です。経費を引く前の金額で計算するため物件紹介や統計で公開されている利回りは、ほぼすべて表面利回りであると考えて良いでしょう。
実質利回りは家賃収入から年間の経費を差し引き、物件価格に購入諸費用を足した金額で割って計算します。
フィリピンの物件では家賃への課税や固定資産税が差し引かれるため、実質利回りは表面利回りを下回ります。経費も諸費用も物件ごとに違うため、実質利回りは投資家が自分で計算するしかありません。
家賃収入から差し引かれる税金と経費
日本に住みながらフィリピンの物件を賃貸に出すオーナーは、フィリピンの税法上は「非居住外国人」にあたります。
税率は年間の滞在日数で変わり、フィリピンでの滞在が180日を超えない場合は25%、180日を超える場合は居住者と同じ0〜35%の累進税率が適用されます。
日本で生活しながら物件を貸すオーナーは通常25%の区分に該当します。この25%は経費を差し引いた利益ではなく、フィリピン国内で生じた所得の総額にかかるため、実質利回りへの影響が大きくなる点に注意が必要です。
また保有中は固定資産税もかかります。
税率は自治体が定める不動産評価額に対してマニラ首都圏が2%以下、マニラ首都圏以外の地域が1%以下で、マニラ首都圏ではさらに特別教育基金として1%が上乗せされます。
税金のほかにも管理費(Association Dues)、賃貸管理の委託手数料、日本への送金手数料が毎年の経費として差し引かれます。金額は物件と管理会社によって異なるため購入前に見積もりを確認しましょう。
物件価格に上乗せする購入時の諸費用
実質利回りの計算では物件価格に購入時の諸費用を足した金額を使います。フィリピンの不動産購入では主に以下の税金・費用がかかります。
| 印紙税 | 契約金額の1.5% |
| 不動産移転税 | 売却価格または公正市場価格の高い方に対して、マニラ首都圏は0.75%(首都圏以外は0.5%) |
| 登録料 | 購入価格の約0.25% |
| 地方譲与税 | 購入価格の0.5% |
上記の税金・費用に加えて仲介手数料や海外送金の手数料、入居者を募集する前の内装・家具の費用もかかります。
なお完成前の物件を分割払いで購入するプレビルド方式では、引き渡しを受けるまで家賃収入が発生しません。支払いが始まってから貸し出せるまでの数年間は利回りを生まない点も、収支計画に織り込んでおきましょう。
フィリピン不動産投資でキャピタルゲインは狙える?
続いてキャピタルゲイン、つまり購入価格を上回る価格で売却して得る利益について解説します。
フィリピンの住宅価格は上昇が続いており値上がり益を狙える市場ですが、上昇率は物件の価格帯によって大きく変わります。
値上がり率は物件の価格帯で大きく変わる
フィリピンの不動産市場全体の値動きは、フィリピン中央銀行(BSP)の住宅価格指数(RPPI)で公表されています。(※1)
BSPのレポートによれば2026年第1四半期の住宅価格は全国で前年同期比4.5%の上昇でした。
コンドミニアムに限ると前年同期比4.6%の上昇で、前期比では3四半期続いたマイナスから11.1%のプラスに転じています。マニラ首都圏のコンドミニアムも前年同期比3.7%、前期比13.2%の上昇でした。
一方で高級物件は異なる動きを見せています。
イギリスの不動産コンサルティング会社Knight Frankの「PIRI 100」(2026年版)によると、2025年のマニラのプライム住宅価格は前年比17.5%上昇しました。
調査対象100都市の中では、東京・ドバイに次ぐ3位の上昇率です。市場全体が4%台にとどまる中で高級帯だけが2桁の上昇と、価格帯によって値上がり率に大きな開きがあります。
プレビルド物件の場合
フィリピンをはじめとして東南アジアの不動産投資で広く用いられているのが「プレビルド物件」です。プレビルド物件は完成前の建設中・計画段階で契約し、引き渡しまでの数年間を分割払いで支払うのが特徴です。
たとえばマカティ市では、2029年3月竣工予定のプレビルド物件「ジェイド・レジデンス(Jade Residences)」が販売されています。
| エリア | マカティ市/チノ・ロセス通り |
| 物件名 | ジェイド・レジデンス(Jade Residences) |
| 価格 | 16,117,277円〜 |
| 専有面積 | 24.02〜27.32㎡(スタジオ〜2ベッドルーム) |
| 竣工予定 | 2029年3月 |
| 総階数 | 地上34階建て(総戸数1,998戸) |
契約時点の価格は16,117,277円から、竣工までの数年間で分割で支払います。この間にマカティの相場が上がれば、支払った金額と引き渡し時の価格との差額が値上がり益です。
ただし引き渡しまで家賃収入は発生せず、工事の遅延・停止や完成後の仕上がりが想定とは異なるリスクも伴います。
なおフィリピンでは分割払いの買主を保護するマセダ法(共和国法6552号)が制定されており、契約を途中で解除した場合も支払総額の一部が返還される仕組みがあるので、フィリピン不動産投資を考える方にとって安心材料になります。
完成物件の場合
完成物件(中古物件)はプレビルド物件のように割安で買うことは難しいものの、現物と管理状態を確認した上で購入でき、引き渡し後すぐに賃貸に出せるのが利点です。
早ければ購入した月から家賃収入が入るため、数年先の竣工を待たずに運用を始めたい方に向いています。
たとえばマカティ市で2022年に完成した物件「レッド・レジデンス(Red Residences)」は、次のような販売条件となっています。
| エリア | マカティ市/チノ・ロセス通り |
| 物件名 | レッド・レジデンス(Red Residences) |
| 価格 | 16,912,521円〜 |
| 専有面積 | 26.04〜35.94㎡(1〜2ベッドルーム) |
| 竣工 | 2022年 |
| 総階数 | 地上29階建て |
なおプレビルドと完成物件のどちらがキャピタルゲインを狙いやすいかは、一概には言えません。
プレビルドは竣工までの値上がりを狙えますが、引き渡しまで家賃が入らない期間が続きます。完成物件はすぐに家賃収入を得られるものの、プレビルド物件のように割安な価格では買えません。
購入する物件の判断に迷うときは現地の不動産市場を熟知した不動産会社に問い合わせ、両方のタイプを見せてもらいながら比較しましょう。
フィリピン不動産投資のキャピタルゲインにかかる税金について

フィリピン不動産を売却する際は、フィリピンと日本の両方で税金が発生する可能性があります。
フィリピンでは、個人が不動産を売却すると原則として6%のキャピタルゲイン税が課されます。日本のように売却益に対して課税されるのではなく、売却価格または市場価格のいずれか高い金額を基準に税額が計算される点に注意が必要です。
また日本の居住者がフィリピン不動産を売却して利益を得た場合、日本でも譲渡所得として確定申告が必要です。
所有期間によって税率が異なり、フィリピンですでに納めた税金については、一定の範囲で外国税額控除を利用できます。
売却時の税金は購入時より計算が複雑になりやすいため、売却前に税負担まで含めた収支を確認しておきましょう。 フィリピン不動産にかかる税金の種類や具体的な計算方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:フィリピン不動産投資に関わる税金一覧|取得・売却時など項目別に解説
フィリピン不動産の利回りとキャピタルゲインを理解して投資を判断しよう
フィリピン不動産の平均表面利回りは全国で5.11%、マニラ首都圏では4%台です。ただし物件資料に載る表面利回りは、あくまでも経費を引く前の数字です。家賃への課税や固定資産税、購入時の諸費用まで差し引くと、手元に残る利回りは表面の数字を下回ります。
キャピタルゲインについてもフィリピンの市場全体が4%台の上昇に対して高級帯は17.5%と、価格帯によって値上がり率は大きく違います。フィリピン不動産投資を始める際には立地や利回りだけではなく、売却時にかかる税金も含めて収支を見積もりましょう。